多くのカメラは、センサー全体を完全に同じ瞬間に読み取るのではなく、上から下へ順番に読み取ります。その間にカメラや被写体が動くと、1フレームの上部と下部で異なる瞬間が記録され、直線が斜めになったり、映像が伸びたり揺れたりして見えます。
ローリングシャッターは、画素数ではなく読み取り時間の問題
解像度は、映像を何個の画素で記録するかを示します。センサーが1フレームを読み終えるまでの時間は、解像度の数字だけでは分かりません。同じ4K・同じfpsで撮れるカメラでも、動いたときのゆがみ方には違いがあります。
カメラと被写体が静止していれば、映像は鮮明に見える場合があります。カメラを横へ振る、車が画面を横切る、人物が素早く動く、カメラに細かな振動が伝わる、といった場面で問題が表れやすくなります。
使用する記録設定ごとに確認する
センサーの読み取り方は、解像度、fps、画面を切り取る設定、センサーの読み出し方式などによって変わる場合があります。フルHDで問題が少なくても、4Kで同じ結果になるとは限りません。4K・24fpsの結果だけで、4K・60fpsも同じとは判断できません。
本番で使う解像度、fps、画角、圧縮形式、手ぶれ補正にそろえます。設定を比べるときは、レンズとカメラの位置を変えず、構図の違いではなく記録設定の違いを確認します。
直線を入れ、同じ動きを繰り返す
ドアの枠、柱、棚、建物の端など、縦の直線が画面の複数の場所に入る構図を作ります。カメラを左右へ、ゆっくり・通常・速めの3段階で振り、それぞれ数回ずつ繰り返します。撮影直後に設定と動かし方を記録します。
次に、カメラを固定したまま、被写体だけを速く横切らせます。これにより、カメラを動かしたときのゆがみと、被写体が動いたときのゆがみを分けて確認できます。固定カメラでインタビューを撮る場合と、手持ちでスポーツを追う場合では、必要な性能が違います。
手ぶれ補正では、読み取り時間は変わらない
レンズ内、カメラ内、電子式の手ぶれ補正は、カメラの動きを小さくできます。ただし、1フレームを上から下まで同じ瞬間に記録できるようになるわけではありません。電子式の補正を強くすると、画角が狭くなったり、画面の端が不自然に揺れたりする場合もあります。
実際に使うレンズで、手ぶれ補正を入れた状態と切った状態を比べます。三脚、一脚、ジンバル、広い画角、ゆっくりしたカメラ操作によってゆがみを目立ちにくくできますが、撮り方も変わります。残したい動きに合う方法を選びます。
問題になるかどうかは、撮影内容で決まる
ローリングシャッターがあるからといって、すべての動画が使えなくなるわけではありません。固定したカメラでゆっくり動く被写体を撮る場合は、実際の映像で気にならないこともあります。速い横振り、歩きながらの手持ち撮影、望遠レンズ、車、スポーツ、回転する物、フラッシュ、細かな振動では目立ちやすくなります。
完成時に使う再生速度と画面の大きさで判断します。ゆがみが目立つフレームを停止して原因を調べることも必要ですが、採用するかどうかは、動画を通常の速度で最初から最後まで再生して決めます。
確認した限界に合わせて、撮り方を決める
予定していた設定で許容できないゆがみが出る場合は、編集で隠そうとする前に、別の記録設定やカメラと比べます。そのカメラを使う必要があるなら、横振りを遅くする、広い画角にする、カメラを安定させる、被写体の進む方向を変える、固定した構図にする、といった方法を選びます。
よく使うカメラと設定ごとに、短い確認動画を残します。レンズ、焦点距離、手ぶれ補正、fps、解像度、カメラの動かし方も記録します。「たぶん大丈夫」という記憶に頼らず、どの条件ならゆがみを抑えられるかを、次の撮影に生かします。
読み取り時間が原因のゆがみは、画素数を増やしても解決しません。
撮影前の確認方法
- 本番と同じ記録設定とレンズを使う
- 縦の直線が複数入る構図を作る
- カメラを遅く、通常、速く横へ振る
- カメラを固定し、速く動く被写体を撮る
- 手ぶれ補正を入れた状態と切った状態を比べる
- 納品時の再生速度と画面サイズで確認する
