この記事の要点
- 色差サンプリングとbit深度を、同じ「高画質」の数字にまとめない。
- Logの変換やLUTの適用先を確認し、同じ変換を二重にかけない。
- RAWは、機種ごとの記録・出力条件と、再起動後の書き出し・保存まで確認する。
解像度とfps、明るさ、保存容量を確認したら、次は、撮った色や明るさを、どのようなデータとして保存するかです。4:2:2、10bit、Log、RAWはそれぞれ違う項目なので、まとめて「高画質の設定」と考えず、一つずつ見ていきます。
4:2:2は「ヨン・ニ・ニ」と読む
動画は、明るさの情報と、色の違いを表す情報に分けて記録することがあります。明るさの情報を「輝度」、色の違いの情報を「色差」と呼びます。4:2:2は「ヨン・ニ・ニ」、4:2:0は「ヨン・ニ・ゼロ」と読み、明るさに対して色差をどのくらい細かく残すかを示します。
基本的には、4:2:2は色差の横方向を半分にし、縦方向は減らしません。4:2:0は横・縦とも半分です。図の横4×縦2画素では、明るさは8つのサンプル、色差は4:2:2なら各4つ、4:2:0なら各2つになります。サンプルとは、情報を記録する単位です。

色差を細かく残すと、背景の色を抜く合成や、細かな色の調整で役立つことがあります。ただし、4:2:2を選ぶだけでピントや明るさまで改善するわけではありません。必要な編集と、手元のパソコンが扱えるかを合わせて考えます。
8bitと10bitは、段階の細かさ
bitは保存容量の記事で出てきたビットという単位です。ここでは、明るさや色の一成分を何段階の数値で表すかに関わります。8bitでは256通り、10bitでは1,024通りで、10bitのほうが細かな段階を記録できます。後から明るさや色を調整する余地に関わりますが、10bitならどんな調整でもできるという意味ではありません。
横スクロールできる表です。左右にスワイプするか、表を選んで左右矢印キー、Home、Endキーで移動できます。
| 設定 | 表していること | 確認する点 |
|---|---|---|
| 4:2:2/4:2:0 | 色差情報を残す細かさ | 合成や色調整に必要か |
| 8bit/10bit | 一成分を表す数値の段階 | 調整の余地とPCの対応 |
後から8bitを10bitへ、4:2:0を4:2:2へ変換しても、撮影時に記録しなかった情報を元どおりに取り戻せるわけではありません。完成時に必要な編集を、撮る前に考えます。
RAWは、仕上げる環境まで確認する
カメラはセンサーで受けた情報を処理して動画を作ります。RAW(ロー)動画は、そのセンサー由来の情報を仕上げで扱うための記録形式です。ただし、RAWなら必ず無圧縮、完全に未処理というわけではなく、形式によって保存する情報や処理が違います。
私の持つ初代α1について、Ver.2以降の公式ガイドでは、カメラ内のメモリーカードにRAW動画は記録できませんが、HDMI端子から対応する外部機器へRAW出力はできます。HDMIは映像などを外部機器へ送る接続です。「α1はRAW動画を扱えない」という意味ではありません。お手持ちの機種で、カード記録と外部出力を分けて確認してください。
RAWを使うなら、対応ソフトで読み込み、調整、書き出し、保存まで進められるか試します。RAWを最初から必須と考える必要はありません。
LogとLUTも、役割を分ける
Log(ログ)は、明るさの幅を記録するための方法で、共通の圧縮形式の名前ではありません。撮影したままでは、通常の映像よりコントラストや色が薄く見えることがあります。仕上げでは、撮影に使ったLogに合う色変換や調整が必要です。
露出、つまり映像の明るさの決め方は、カメラとLogの種類で違います。どのLogも一律に明るめに撮る、という決め方はしません。
LUT(ラット)は、色や明るさの数値を別の値へ変換するための対応表です。撮影中に見やすく表示するだけの場合と、記録する映像へ適用する場合があります。お手持ちのカメラがどちらなのかを確認します。編集ソフトの自動変換も含め、同じ技術的な変換を二重にかけないようにします。
最初は短い動画を仕上げ、色、ノイズ、再生、書き出し時間を確認してください。LogやRAWは、その工程が必要になってから加える選択肢です。
空や壁の滑らかな階調に縞が見える場合があります。8bitのLogを強く調整する場合も含め、実際の設定で1分ほど撮り、完成ファイルまで比べます。1分は試し方の一例です。表示機器や提出用ファイルが、撮影時の情報をすべてそのまま表示できるとは限りません。
Logでは明るさの分布を見る波形、白飛びしそうな部分を縞で示すゼブラ、ヒストグラムなど機材にある表示で露出を確認し、使用したLogと色域を記録します。白飛び、黒つぶれ、外れたピントをLUTで戻せるわけではありません。創作用LUTが正しい変換になるとは限らないため、書き出した動画を編集ソフトの外でも開いて確認します。
RAWの現像では明るさ、色、明暗差、ノイズ、輪郭などを決め、一般に再生できる完成動画へ書き出します。保存したら一度ソフトを閉じ、同じ素材と設定で再度開いて最後まで書き出せるか試し、カメラの設定、記録形式、ソフトの版、色の設定を結果と一緒に残します。将来そのソフトで読めなくなる可能性も考え、元データ、設定、完成動画のどれを残すか判断します。
RAWでも、記録されなかった白飛び、外れたピント、不要な動きのぶれ、撮れなかった瞬間は戻せません。同じ場面をRAWと圧縮形式で仕上げ、時間と費用まで比べます。元データにコピー二つを加える保管例なら、元の三倍の容量が必要です。
参考資料
Microsoft/色差サンプリング (新しいタブで開きます)
Sony/α1 色情報とビット深度 (新しいタブで開きます)
Sony/α1 カメラ内の動画形式 (新しいタブで開きます)
Sony/α1 HDMI RAW出力とカード記録の制限 (新しいタブで開きます)
この記事の実践チェックリスト
チェックは、このページを開いている間の作業メモです。